業務のご案内
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ロータス金属の製法開発事業

1. 高圧ガスを用いたロータス金属の作製法

ロータス金属の作製法:鋳型鋳造法

ロータス金属の作製法:鋳型鋳造法

ロータス型ポーラス金属は、溶融金属におけるガス原子の溶解度が大きく、その固体金属中での固溶度が小さい場合、凝固時に固溶しきれないガス原子が気孔を形成することを利用して作製される。このようなロータス金属の作製方法には3つの方法―鋳型鋳造法、連続帯溶融法、連続鋳造法―が挙げられる。

 

図1には鋳型鋳造法によるロータス金属の作製装置を示した。容器の中に溶解部と凝固部が設けてあり、高周波加熱によって坩堝内の金属を溶解し、所定の圧力のガス中で溶融金属中にガスを溶解させる。底面部を水冷チラーによって冷却した銅盤を有する鋳型の中に鋳込んで下方から上方への一方向凝固をさせると気孔が上に伸びたロータス金属を作製することができる。鋳型の一端を冷却しつつ一方向凝固を行わせるので、本製法による長尺のロータス金属の作製には限界があるという欠点がある。

 

 

 

 

 

ロータス金属の作製法:連続帯溶融法

ロータス金属の作製法:連続帯溶融法

そこで、中嶋らは図2に示したような連続帯溶融法を開発した。加圧ガスの下で金属ロッドを高周波加熱コイルで部分的に溶解させ、その溶融部に雰囲気からガスを吸収させ連続的に移動させることにより、一定の凝固速度で均一な気孔サイズと気孔率をもつロータス金属を作製することができる。本製法によってステンレス鋼や金属間化合物などの熱伝導率の低い材料でも均一な気孔径や気孔率を有するロータス金属を作製することができる。しかしながら、溶融部は表面張力によって保持されるため、直径十数mmのロッドや25mm幅程度の板材に限定されてしまう。

 

ロータス金属の作製法:連続鋳造法

ロータス金属の作製法:連続鋳造法

そのために、中嶋らは凝固速度を制御できて量産化に適した連続鋳造法を開発した。図3に示したように、連続鋳造装置は加圧容器内に設置された加熱溶解部、凝固のための鋳造部および凝固材を連続的に引き出すための移動機構より構成されている。坩堝内で高周波加熱により金属素材を溶解し坩堝底部の孔に設置した鋳型にあるダミーバーと接触させダミーバーをピンチロールの移動機構によって一定速度で連続的に凝固材を引き出すことができるので、長尺のロータス金属を作製できる。連続鋳造法によって作製されたロータス銅を図4に示した。

連続鋳造法で作製したロータス銅

連続鋳造法で作製したロータス銅

 

 

 

 

2.ガス化合物熱分解法を用いたロータス金属の作製法

 

ガス化合物熱分解法を用いた鋳型鋳造法によるロータス金属作製装置

ガス化合物熱分解法を用いた鋳型

造法によるロータス金属作製装置

金属中に水素などのガスを溶解させるために加圧水素ガス雰囲気下で金属を溶解、一方向凝固させてロータス金属が作製されてきた。しかしながら、作製の際に、暴爆性の水素ガスを高圧にて用いなければならないことがロータス金属を実用化する場合の大きな障害であった。

最近、中嶋グループではこの障害を克服するために高圧の水素ガスを用いずに溶融金属にガス化合物(ガス元素と金属元素より構成される化合物、以降、ガス化合物と呼ぶ)を添加するロータス金属の新規な製法「ガス化合物熱分解法」を開発した。

 

 

図5にガス化合物熱分解法を用いた鋳型鋳造法によるロータス金属作製装置の概略図を示した。TiH2粉末ペレットを鋳型底面にセットし、0.1MPaのアルゴン雰囲気下で銅を高周波加熱により坩堝内で溶解し、底部を水冷した鋳型に鋳込んで一方向凝固させた。ガス化合物熱分解法は水素化物や窒化物を溶融金属に添加し、鋳型で一方向凝固させるだけでロータス金属を作製することができるので、安価で、安全、簡単な製法である。

 

ロータス金属の強度

1 ロータス金属の引張強度

ロータス金属の強度は一方向気孔の向きに依存して変化し、異方性がある。図6はロータス銅の引張強度の気孔率依存性の結果である。引張方向が気孔と平行な場合には引張強度のデータ点は気孔率が100%のときに0MPaを表わす点を通る直上にのっている。このことはロータス銅に応力集中がほとんど起こらず気孔の存在にかかわらず比強度(単位重量当たりの強度)はノンポーラス銅のそれと同じであることを示している。しかしながら、気孔の成長方向が引張方向と垂直な場合の引張強度はその直線よりかなり低下している。気孔周辺で応力集中が起こるためである。

ところで、窒素を用いて作製したロータス鉄では、気孔率が40~50%でもノンポーラス鉄と同等の強度を示すという興味深い結果が得られた。つまり、「無垢の鉄より半分軽くても強度は鉄と変わらない」という結果で、これは微量に固溶した窒素原子による固溶強化のためである。

 

2. ロータス金属の衝撃吸収特性

衝撃吸収体に衝撃負荷が発生した時には、衝撃吸収体壁の特定部分が最初に変形する構造を有しており衝撃吸収体が大きな衝撃を受けた時に衝撃吸収体の特定部分が圧縮により座屈変形または永久変形して衝撃を吸収する特性が必要である。その衝撃を吸収するためには空隙が存在する必要がある。ポーラス金属は多数の空隙を有するため優れた衝撃吸収特性を示すことが知られている。図7(a)に示すように衝撃吸収体を圧縮した時の応力と歪の関係は応力‐ひずみ曲線として知られている。ポーラス金属の圧縮の初期では圧縮歪に比例して応力‐ひずみ曲線が急激に立ち上がりその後の傾斜は徐々に緩慢となり歪の増大にも関わらず応力はほぼ一定となってプラトー領域に達する。(図7(b)に示すように、ノンポーラス金属ではプラトー領域は存在しない。)さらに圧縮力が加わっても気孔の逃げ空間として金属部の座屈変形が起こりこの座屈変形が進行する間はほぼ一定の応力レベルを維持した後、気孔の逃げが少なくなると曲線は急激に立ち上がり緻密化が起こる。衝撃時の吸収エネルギーは応力‐歪曲線の歪0からプラトー領域終端の歪までの積分値から求めることができる。図8には吸収エネルギーとプラトー応力の関係を示した。発泡金属やチューブ部材に比べてロータス金属の吸収エネルギーは10倍から数10倍に大きく、プラトー応力も10倍以上大きいことから従来部材にないきわめて優れた衝撃吸収体であると言える(図9)。特に、気孔の成長方向には応力集中が起こらなうために極めて高い衝撃吸収特性を示す。

 

 

 

 

応用開発事業

ロータス金属は軽量性、制振性、直線的貫通気孔に冷媒を流すことによる冷却特性などの機能的性質を有している。これらの特性を利用して株式会社ロータスマテリアル研究所と企業とが共同研究した応用開発の2つの例を紹介する。

 

1 ロータス金属を用いた工作機械

ロータス炭素鋼厚鋼板サドル

工作機械には従来以上に省エネルギー化・高精度化が望まれており、工作機械の移動体を軽量化して運動性能を向上させ、消費エネルギーを低減させる必要がある。森精機製作所では移動体に現在主に用いられている鋳鉄に代わって、図10に示すようにロータス炭素鋼を使用した。ロータス炭素鋼が窒素ガスを用いて作製されたので、固溶強化によりロータス炭素鋼製サドルの強度はノンポーラス炭素鋼製のサドルの強度と同等であった。ロータス炭素鋼をサドルに用いたことにより鋳鉄の場合より2030%も軽量化でき、切削時の残留振動を大幅に低減させることに成功した。さらに、ロータス炭素鋼による形容化によって慣性力が小さくなり加減速性能を2倍以上に高めることができた。鋳鉄製サドルと比較して、ロータス炭素鋼製サドルの消費電力量は、1520%削減できた。このように、軽量化により、残留振動の抑制および消費電力の削減効果があった。

 

 

 

                            10 横形マシニングセンタNH4000DCG(森精機製作所製)およびロータス炭素鋼を用いたサドル


 

 

2 ロータス銅を用いたヒートシンクの開発

 

ロータス銅ヒートシンクを使用したパワーモジュールの水冷方式

図11 ロータス銅ヒートシンクを使用したパワーモジュールの水冷方式


近年、電子デバイスの小型化、高性能化に伴ってデバイスからの発熱密度(発熱損失を発熱面積で除した値)は飛躍的に上昇しており、その効果的な冷却のために高性能なヒートシンクが求められている。これまでに、発泡金属は冷媒との接触面積が大きくなるので、ヒートシンク材として有望視されてきたが、これらの多孔質金属に冷媒を流した場合、気孔が3次元的に連結しているため、隣り合う気孔を流れる冷媒の合流あるいは分流によって発生する圧力損失により、ヒートシンク全体の圧力損失が大きくなる欠点があった。

そのため、これらの多孔質金属をヒートシンクとして応用するためには、冷媒を送り出すための大きな動力が必要となっていた。この圧力損失を減少させるためには気孔内の冷媒の流れを1次元化(真直ぐに)することが有効である。一方向性の気孔を多数もつロータス銅をヒートシンクに利用した場合、微細な気孔径による温度境界層厚さの低減に伴う熱伝達率の増大と、直進性の気孔による圧力損失の低減とが同時に得られる利点がある。

11はロータス銅ヒートシンクを使用したパワーモジュールの水冷方式を示したものである。発熱体である電子デバイスの直下にロータス銅を配置し、冷却水をロータス銅の気孔内に流す。これにより電子デバイスで発生した熱は、ロータス銅の気孔内を通過する冷却水に熱伝達される。ヒートシンクベース面積当たりの熱伝達率を圧力損失に対して調べた結果を図12に示した。同じ圧力損失での熱伝達率hbiを比較すると、ロータス銅ヒートシンクの実測値は溝型マイクロチャンネルより2倍、従来の溝型ヒートシンクより5倍高い値を示している。

以上から、ロータス銅ヒートシンクの熱伝達特性は非常に高く、70kW/(m2K)もの高い熱伝達率を示すことが明らかになった。ヒートシンクと性能としては世界最高値(チャンピョンデータ)である。図13には多数のヒートシンクが車載用パワーコントロールユニットに搭載されている。ヒートシンクを高性能化し小型化すればパワーコントロールユニットを高性能化、小型化することができる。

ポンプ動力に対する各ヒートシンクの熱伝達率の比較

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポンプ動力に対する各ヒートシンクの熱伝達率の比較 

 

 

 

 

 

14には、ロータス金属を用いた応用開発のいくつかの例を示した。ゴルフパターは制振性、航空機ジェットエンジンの冷却パネルは一方向性気孔を、人工歯根は気孔の骨侵入性、自動車体は軽量化、衝撃吸収性を利用しており、株式会社ロータスマテリアル研究所は多くのニーズに対応できる実用化を目指している。

 

 

出典

図,連続鋳造法で作製されたロータス銅:日本金属学会発行「まてりあ」Vol.47 No4

図,ガス化合物熱分解法を用いた鋳型鋳造型ロータス金属作製装置の概略図:

 (株)アグネ技術センター発行「金属」Vol.80 No.10

図,横型マシニングセンター、既存の鋳鉄製サドル、ロータス炭素鋼製サドル:

  日本鉄鋼協会発行「ふぇらむ」Vo.16 No.9

図,ロータス銅ヒートシンクを用いたパワーモジュール構成:

  日本鉄鋼協会発行「ふぇらむ」Vo.16 No.9

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